ピアノのレッスンというのは、講師が実際に演奏して手本を示しながら進められるのが通例ですが、手本を示すにしても、横から手を伸ばして片手でチョロチョロと演奏したのではあまり意味がありませんし、演奏の度に「ちょっとどいて」とするのも、あまり効率の良いものではありません。

洋の東西を問わず、音楽大学に於けるピアノのレッスンは、通常2台のグランドピアノが並べられた部屋で行われます。 ピアノデュオ(2台のピアノによるアンサンブル)や、オーケストラパートをピアノに置き換えてピアノ協奏
曲のレッスンが行えるという事もありますが、間近で演奏の「秘密」に接しながら、それをすぐに実行出来るという点で、これが理想的なスタイルだからです。

レッスン室にはヤマハのプロフェッショナル仕様のグランドピアノであるS400Bと、ハンブルク製スタインウェイコンサートグランドピアノ(D-274)という、2台のグランドピアノが並べられていますが、どちらも演奏者の意図を反映させることの出来る素晴らしい楽器です。
ヤマハの家庭用サイズのグランドピアノには色々なヴァリエーションが有りますが、一般的にはCシリーズとSシリーズという事になるでしょう。 Sシリーズは、演奏家を対象にしたプロフェッショナル仕様のグランドピアノで、音の質感や、タッチの優秀さは素晴らしいものです。 奥行きは190cmですから、スタインウェイで同じサイズとなるとA型(188cm)になるでしょうが、A型は勿論の事、A型よりも1サイズ大きなB型(211cm)と並べても、決して引けを取る事のない素晴らしい楽器であり、まさに世界に誇れる名器だと思います。 残念ながら現在はカタログから消えてしまいましたが、ヤマハの現行モデルの中では、S6B(210cm)などは大変に素晴らしいと思います。
ハンブルク製スタインウェイコンサートグランドピアノ(D-274)は、スタインウェイ社のフラッグシップ(最上級)モデルであり、ベルリンのフィルハーモニーやウィーンのムジークフェライン、東京のサントリーホールなど、世界中の一流コンサートホールに備え付けられている楽器です。 スタインウェイに限らず、コンサートグランドというのは、ピアノを製作するメーカーの「顔」となるものであり、メーカーの威信をかけて世に送り出されます。 一時期、レッスン室には上記のヤマハ(S400B)と、スタインウェイのB型(211cm)を並べた
事もあったのですが、コンサートグランド(D型)の音色の素晴らしさは、一般家庭向けのサイズのピアノでは決して感じる事の出来ないものです。

2台ともコンサートチューナーによる毎月のメンテナンスによって、最高の状態に保たれています。
ヤマハのS400Bは、共に練習してきた中学生の頃から「戦友」ですが、ピアノを教え始めるにあたり、2台のグランドピアノを並べる必要性から、同じくヤマハのC3を求めました。 大変重宝しましたが、音大受験生やコンクールに出場する生徒が増えた事によって、より高度な演奏に耐え得るピアノが必要になり、C3をスタインウェイのB型と入れ替えました。

同じメーカーの同じモデルとは言っても、楽器によって音は様々です。 今までに200台を越えるスタインウェイのコンサートグランドピアノに接してきましたが、今年(2008年)に入って、今まで触れてきた楽器の中でも、最も素晴らしい楽器の一つではないかと思える楽器と巡り合う事が出来、これをレッスン室に搬入する事になりました。

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